音痴改善のボイストレーニング
先日、レッスンでとても嬉しいことがありました。
丁度2年ボイストレーニングをしている生徒がいます。
その生徒は拙著「1週間で正確な音程で歌えるようになる本」を読んで、
レッスンに申し込んできてくれました。
この本の中にコラムがあり、
そこで最初から最後まで全部音を外して歌っていた生徒(佐藤君)の
成長話しを掲載しています。
この佐藤君と自分が似ていると思ったようで、
この人の音痴が改善するなら自分も直るかもしれないと感じたようです。
そして実際にレッスンでお会いすると、
コラムの登場人物よりもっと大変だったのです。
蚊の鳴くような小さな声で、声域もとても狭く1オクターブもなく、
曲を歌えば最初から最後までずっと音を外しっぱなし、
発声練習でピアノに合わせてもらおうと思っても、
ピアノの音と同じ音が分からない。
違うと指摘しても、合っていると伝えても、
違うのか合っているのかさえ何も分からない。
もう少し高く・・・と言っても、
どうしたら高くなるのか分からない。
もう少し低く・・・と言っても、
どうしたら低くなるのか分からない。
ご本人の中では、
そもそも高いとか低いの感覚がなんなのかが分からないんです。
要は重症だということ。
とは言え、ここまでは佐藤君と同じ状況なんです。
違いはと言うと、
佐藤君は心が清らかというかとても素直で前向きなんです。
無口だけど内面にユーモアを秘めていたり・・・。
なので最初は最悪の状況でしたがすくすく育っていくれました。
こちらの生徒は根はやさしくていい人なのですが、
心が複雑でネガティブ、人を信用できないみたいなとことがあり、
レッスンを始めて1年近く「自分は石川芳を信じて良いのか?」と繰り返し聞いてくる。
そんな面倒な一面も。
「信じられないならやめればいいでしょ!!」って
いつも切れ気味に(ブチ切れてたかも?)返事してました。
レッスンに申込んだ時点で一応信用してみようと判断したはずなんです。
それは本を読んだり、メルマガ読んだり、メールのやり取り等、
決断する判断材料はいろいろあったと思います。
レッスンを始める前に信用できるのか?と疑ってかかるのは理解できます。
しかし、一旦信用してみようと判断して始めたのだから、
レッスンを始めた今となっては、
「私を信用できるかできないかではなく、
あとは自分を信用できるかどうかがあなたには重要なことなんです。」
と何度正論を言っても通じない、会話はいつも堂々巡り。
全く分かってくれないので最後には、
「信じられないならやめればいいでしょ!!」ってなるんです。
でも、やめない。
それどころか2年間1度も休まず皆勤賞。
「自分は続けて上手くなるんですか?」ともセットでよく聞かれ、
「上手くなるんですか?じゃなくて、
上手くなるために頑張っているんでしょ!!上手くなるっていう意思が大事なんです。」
と言っても納得しない。
話をしても噛み合ないので止めました。
とにかく歌が上手くなればご本人にとっては満足なわけなので、
この生徒の音痴を治すことが私の仕事と割り切り、
淡々とレッスンだけするように心がけました。
そして静かなる壮絶な戦いの末、
先週のレッスンで、
メロディーをピアノで弾いてあげないと歌えなかったのが、
(まぁ、最初はメロディーを弾いてあげても歌えませんでしたが・・・)
なんと、メロディーを弾かずにコードだけの中で歌えるようになったのです。
思わず拍手してしまいました^^
これは大きな大きな進歩です♪
ハイハイしていた赤ちゃんが、
初めて立ったときのような記念すべき出来事。
こうなればもう、伴奏に合わせて歌えるので、
病的な音痴からは脱出したと言っていいと思います。
自分のピッチが合っているのかズレているのかも、
もう自分で分かるようになってます。
ようやく本人も上達したという実感が持てたようで、
少しばかり希望が湧いてきたようです。
【自信をもって人前で歌えるようになりたい】
それがご本人の目標で、
まだまだ声も鍛える余地がたくさんあり、
改善する余地もたくさんあります。
でも、自信をもって人前で歌えるようになる日は、
もうそう遠くないと感じています。
その日まであとひと頑張りです。
なんだかんだごちゃごちゃ言いながらもここまでついてきてくれた生徒にも感謝ですし、
私は私で自分を褒めてあげたい・・・そんな気分です♡