ボイトレと丹田

最終更新日:

記事カテゴリー:

    オオモンカエルアンコウ@沖縄・慶良間     先日のトライアルレッスンで受けた質問をご紹介します。   「歌の先生に丹田を意識すると声が良くなると言われたのですがどうなんですか?」   この質問をされるという時点で、 この方は効果を感じていないということなんですね。 なのでもうご自身の中で答えは出ているのです。   条件があるので、 答えをひと言で言い切ることは難しい話なのですが、 私の見解は、   【発声が正しく出来ていない方にとって効果はないでしょう・・・。】   発声のメカニズムに丹田は含まれていません。 発声器官に丹田は含まれていないのです。 丹田は声を出す器官ではないということ。   なので丹田を意識して声が良くなるというのは、 発声が完成して、さらに歌に磨きをかけたい時、 丹田を意識してみると効果があるかもしれない・・・ということ。 でもこれは下腹に力を入れるということではないです。   または別の分野での訓練をされていて、 丹田だとか気だとかのパワーが使える人は効果があるかもしれませんが、 それでもそれだけで発声が完成する訳ではないので、 やはり発声の訓練は必要になります。   丹田を意識したら間違った発声の癖が直るわけではなく、 声帯のコントロールが身に付くわけでもないので、 まずやるべきことは丹田を意識して声をだすのではなく、   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ♪喉を開いて声をだせるようになること ♪リラックスした中で自然な呼吸の流れに乗せて声がだせること ♪声帯をコントロールする訓練をすること ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━   発声のメカニズムをすっ飛ばして、 いきなり丹田・・・という話は変な話なんです。 論理的ではないのです。   また丹田をおヘソから指3本分下と認識されていましたが、 これも違いますよね。   臍下丹田とはもっと奥にあって、 おヘソから指3本分下で指の当たっている場所ではありません。   もし丹田が声に効果を発揮すると仮定して、 意識している丹田の場所がそもそも間違っていれば、 その効果は発揮されませんよね。   丹田を意識するようにと指導するのであれば、 正しい位置をきちんと指導しなければ意味がないのではないでしょうか。   以前信頼できる中国人気功師の気功教室に通っていましたが、 その先生は、 「丹田の場所を認識するまでには毎日練習して最低45日はかかる。」 とおっしゃっていました。私もそうだと思います。   歌と言えば丹田とか 短絡的に言われる方もいらっしゃいますが、   丹田の正確な場所を認識するにも訓練が必要で、 分かったところで、そこから声に影響を与えるほどのパワーを使えるようになるにも、 それ相応の訓練が必要なもので、 なんの訓練もしていない人がポッと適当な場所に丹田を意識してみただけで、 歌が上手くなる訳がないです。   歌が上手くなりたいということが目的であるなら、 発声器官を正しく使えるように訓練する方が効率的だと思います。   丹田を意識できるようになればなった方が良いと思いますし、 こういう感覚は私自身は分かります。 ただ、歌の練習において最優先するものではなく、 最終的な段階で取り入れるものだと思います。 私は発声が身に付いていない生徒にこの類いの話はしません。   発声の要である声帯すらコントロールできないのに、 丹田まで意識したらフォームが崩れてしまいます。 順番が大事ということです。   まずは正しい発声を身につけてください。   (お願い) このブログは歌の上達を目指す方のヒントとなる内容を掲載できるよう 時間を割き心を込めて書いております。 同業者やボイトレに関する情報を発信している方にもお読みいただいているようですが、 記事の内容を転載されることは構いませんので、 ルールとして必ず「ヴォーカル講師の石川芳によれば」と一言添えてお使いくださいね。